大麦について
大麦(英:Barley、学名Hordeum vulgare)は、イネ科の穀物。中央アジア原産で、世界でもっとも古くから栽培されていた作物の一つ。
大麦の産地とルーツ
穂の形状の違いから、主に二条オオムギ、四条オオムギ、六条オオムギ、裸オオムギに分かれる。
現在栽培されている品種は、現在イラク周辺に生えている二条オオムギの一種、ホルデウム・スポンタネウム(Hordeum spontaneum)という野生大麦が改良されたものともいわれる。
古代エジプトでも主食のパンを焼くのに使われており、ヒエログリフにも描かれている。
日本には3世紀ごろ朝鮮半島を経て伝来し、奈良時代にはすでに広く栽培されていた。
中国の華北・中原において、黄河文明以来の主食は専ら粟米(谷子)であり、「米」という漢字も本来はアワを示す文字であったと言われている(中国後漢の許慎が著した漢字の解説書『説文解字』において、「米…粟實也。象禾實之形」(禾=粟)と書かれ、米即ちアワの実であると解説されている)。青海省民和県の喇家遺跡では、およそ4000年前のアワで作った麺が見つかっており、現在、世界最古の麺と言われている。一方、稲米も周の時代から栽培が盛んになってきたが、長江から入ってきた蛮夷の穀物とみなして「雑穀」のように扱う風潮が知識人を中心に長く続いた(米が華北・中原においても主食とされるようになるのは唐代以後と言われている)。だが、連作や二毛作を行うと地力を損ないやすい事や西域から小麦が伝わってきた事も相俟って、次第に主食の地位から転落する事になった。しかし、現在でも中国では粟粥などにして、粟を食べる機会は多い。また、鉄絲麺という最古の麺と同じような麺類を作る地方もある。
大麦の利用
脱穀した種子がビールやウィスキー、焼酎などの酒類や醤油・味噌などの発酵食品の原料として使われるが、コムギと違い、グルテンをほとんど含まないので粘り気が必要な麺の原料とするには、小麦などとのブレンドやグルテンの添加が必要。そのままパンにした場合はどっしりとした重い感じのパンとなり、小麦のパンとは大分印象が違うかもしれない。
主食としては、ヨーロッパでは粗く挽いた大麦を煮た粥状のものが食べられていたが、その後パンが普及したり、茹でただけでも比較的美味なジャガイモがアメリカ大陸からもたらされたりしたため現在では大麦をそのまま食べることは少ない。日本では、明治時代までは精白して食べることはほとんどなく、挽き割り粥か、えまし麦として調理した。明治時代までは、えまし麦の茹で汁は、砂糖を混ぜて母乳の代用品として使われることもあった。明治以降は麦ご飯として米に混ぜて炊いて食べることが多くなったが、臭くて不味いとして、貧民や囚人の食事とされていた(俗に言う「刑務所の臭い飯」である)。現在では精白技術の向上により、健康食として広く受け入れられるようになった。
オオムギとカラスムギ、およびそれらを原材料とする食品チベットで主食としているツァンパはハダカオオムギを乾煎りして粉砕した粉である。日本では、同様の加工をした粉をはったい粉、または麦焦がしと呼び、砂糖や湯などと合わせて練り、菓子の一種として食べていた。
若葉を粉砕して粉末にしたものは青汁の一種として、健康食品として売られている。
オオムギ穀皮抽出物は乳化剤などの用途で、かつて日本の既存食品添加物名簿に掲載されていたが、販売実績がないため、2005年に削除された。
その他の用途としては、家畜の飼料、漢方薬などがある。
また、オオムギ発酵エキスに白髪を黒くさせる作用のある成分が含まれ、育毛剤、シャンプーなどに応用が考えられている。

